自治体の健康講演会での演題でのご相談がありました。
「健康講演のご依頼をしたいのですが、心の健康にも力を入れていきたいと考えております。」
はじめに「健康」ということばを紐解いてみましょう。
「健康」という言葉の中に「心」という意味がすでに含まれています。
もともと、「健康」は四字熟語を2文字に短縮してできた言葉です。もとの言葉は「健体康心」(けんたいこうしん)と読みます。
字のごとくです。体が健やかで心が康らかである状態。
健康は心と体のこと。心と体は一体だということ。心と体が繋がっていること。
心と体は持ちつ持たれつ。心を助けてくれるのは体。また方だを助けてくれるのは心。
ここ一番のときに自分を助けてくれるのは自分の心と体なのです。
そのためには、心と体が一緒に、離れ離れにならないようにするということです。
「心が体を動かし、体が心を支える。」をみなさまにお伝えしています。
健康のバロメーターは朝
みなさん、朝目覚ましで起きますか?自然に起きますか?トイレに行きたくなって起きますか?
いずれの場合も、目覚めた時に「気分がいい」と思えたらあなたは健康です。
毎朝の「気分」バロメーターで、ご自身の健康チェックをしておけば、ちょっとした変化に気づくこともできますね。
WHOの健康
個人の健康条件としては、病気じゃないこと。食欲があること。便通がよいこと。元気があって疲れが回復すること、良い睡眠(時間、質)、抵抗力(免疫力)があること、姿勢がよいこと(体のバランス)正常な発育などが挙げられています。
WHO憲章では、その前文の中で「健康」について、次のように定義しています。
Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.
健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいいます。(日本WHO協会訳)
体と心の健康と、社会との関わりが重要です。
特に、年齢とともに社会との関わりが減ってしまっているかもと感じる方は、積極的に自分から関わりを持とう!とすることが大切です。予定があれば、そのために健康を維持することにつながります。また社会と関わるということは、心のつながりができるということです。
「社会的な付き合いは食事や運動と同じくらい健康に影響する」という米研究結果もあります。
心は扱いにくい
心って、何か特別なもののように捉えられます。
メンタルヘルスとかいえば、何かちょっとセンシティブのような...
心は少々扱いにくい?!
みなさんは
「つい言ってしまった」とかありますか?
それって心の発作です。
カッとなったなども同様に。
喜怒哀楽の感情の発作が起きてしまったのね。
実は、これ呼吸が原因だったり、姿勢が原因だったり。普段からの体の使い方のクセによって、心の状態が作られることもあるんですよ。
・「元気がでない」とき
体が疲れているんだったら、休みましょう。(骨休め)
もし「なんとなく元気がでない」んだったら、体を使って元気になれます。
お相撲さんのようにシコ踏みしてみませんか?また20分以上のウォーキングも効果的です。
・「毎日が楽しくない」
楽しくなくても「笑顔」になりましょう。楽しくないから笑顔になれないというなら「つくり笑顔」でも大丈夫。笑顔というかたちが脳に明るく作用してくれるんですよ。(笑顔フィードバック効果)
騙されたと思って試してみてください。
私たちが思うよりも、体は高度、ハイテクなんです。
「動け!」と命令しなくても心臓は生きている限り止まりません。
食べれば「消化しよう!」と思わなくても消化してくれますし、それだけではありません。
生きている限り「息」をしていますしね。
息もゆったりと呼吸できれば「長生き(息)」だけでなく「ついしてしまった」「つい言ってしまった」という、心の発作も起こりにくくなります。
ゆったり呼吸ができる「体」を作れば、心の発作が起こりにくく、心の発作に振り回されることがなくなるのです。
ですから、体を使って、心を元気にすることができます。筋肉は裏切らない(笑)ように、心よりも体の方が安定していて確実で、即効です。
心がどのくらい不安定で不確実か。私がここに書かなくてもみなさん経験上ご存知でしょう?
何があっても動じない心の修行はお坊さんに任せておきましょう。それでも、僧侶の修行は体を使いますよね。肉体修行でしょ。お掃除や断食だけでなく、瞑想も呼吸=体を使っているのです。
体を使って心の状態を知るという方が正しいのかもしれませんね。
心はどこにあるの?!
それで心はどこにあるのか?!ということですが、どこだと思いますか?
「心臓?!」「頭?!」
心は体の中にあって、いろいろ移動するんだとか動きがあるイメージと面白いですよ。
頭にきた! →頭にある 上向き
むかつく! →胃とか胸(むかついている)もやもやうごめいている
腹が立つ! →腹にある パーンと張っている
腑に落ちる! →肚(はら)にある どすんとしている
心ここにあらず →行方不明
気を配る →全方位を向いている
浮ついている →肩のあたりでふわふわしている
落ち込んでいる →下の方でよどんでいる
ウキウキしている →胸のあたりで弾んでいる
ドキドキしている →心臓のあたりで動いている
こうやって書き出してみると、心の状態が体にあらわれるというのがイメージできますよね。
稽古に通っている合氣道では、心を落ち着くべきところとして、丹田と言われる場所「臍下の一点」(せいかのいってん)というところが心の居場所と教わります。
場所は文字通り、臍下のあたりです。ここに心を落ち着けておくと、自然に身体(からだ)がリラックスします。
「身体」と「体」の違いについて
「身を以てわかった」とか「身に沁みる」「身の上話」「身に付く」など使うように、体と心が伴っているときや、その人の精神、中身を伴うときに「身」を使って身体と表現することが多いですよね。
「身から出た錆」ということはあっても「体から出た錆」とは言わないと、この度新元号「令和」で話題の人となっている中西進先生の著書にありました。精神的で抽象的な存在。「み」は「みのる」ように、努力して経験した成果だから、事故で体が傷ついても失われるものではない。
対して、体は肉体的なところですね。体が弱い、丈夫、壊すなど。機能や状態。
また、体はもともと「體」という漢字を用いていました。
骨が豊かということに、健康のヒントが隠れています。
たとえば、寝ること、休むことを「骨休め」と言いますが、体を重力から解放してあげるには、横になるしかないんですよね。
また、私たちは、体のことで気になるのは、贅肉とか筋肉とか「肉」ばかりですが、本当は「骨」が大事だということなんですよ。「骨」は、全体を支えるしっかりしたものという意味があり、たとえば、「骨子」とか「骨組み」など使いますよね。私たちの方も「骨格」といいます。体重もそうですが、身長=骨の健康度合いが、健康バロメーター。です。
そうやって、文字をみていくといろいろなことが見えてきますよ。
ちなみに「見る」というのもいろんな漢字がありますね。 観る 視る 診る 看る 覧る.....もっとありますよ。
ウォーキングと心の関係
心の健康についてお話してほしい。メンタルヘルスをテーマにお話してほしいという場合には、必ず
私のお伝えする心の健康、メンタルヘルス法としては、体からのアプローチを用います。
姿勢ひとつも心に影響しますよね。うつむきながら、笑ってると変な人になります。
落ち込んでいて、もういいやというくらい泣いあとは、人は上を向くもの。
他にも眠気を覚ます腕の動かし方や、元気を刺激する運動もあります。
そして、心の安定のためには「ウォーキング」を推奨しています。
歩くことは、運動の他の作用として、脳内ホルモンが活性化され、心の安定につながります。
また「歩く」というのは動きとしては「前に」「進む」のです。そして「歩」という漢字は「止」まるのが「少」ないですからね。後ろ向きには歩きませんよね。歩くことで、気持ちも前に進むのです。
「歩く」ということが心身の健康を維持する上で、私たちにっとて大切なことなのです。