成長は伸びる、老化は縮む

中学生の男の子とか身長に比べて、先に足だけ一人前みたいにでっかくなってきて…… そういう姿を見ると、あぁ成長期だなって思います。成長期にはそうやって、手脚が長くなっていきます。

「年齢を重ねると背が縮む」と聞いたことがあると思いますが、実際に縮んだという声も最近、チラホラ聞くようになりました。老化というのは、その手脚（四肢）が胴体の中にめり込んでいく、そんなイメジです。また老化というのは「下方向」のベクトルです。胸が垂れる、お腹がたるむ、お尻も垂れ、頬も垂れて、目尻も垂れて… です。

基本は、上がっている、上方向のベクトルが若いということになるようですが、唯一「肩」だけは、下がっていることが若い、健康なからだと言われています。肩が上がってしまうと、肩甲骨が動かなかったり、肋骨が下垂してしまい、以下のような悩みの原因になります。

⚪︎肩甲骨が動かない→ 肩こり、首こり、猫背、四十肩、五十肩、腕こり、二の腕が固く太くなる、重い荷物が持てない

⚪︎肋骨が下がる　→呼吸が浅くなる、疲れが取れにくい、痩せにくい、落ち着かない、焦燥感、無駄な力み、緊張感、強張り、自律神経への影響　など

子どもから大人になると、小手先でからだを使ってしまうようです。小手先でというとわかりにくいかもしれませんが、赤ちゃんは力がないので、全身で全力で動かします。年齢を重ねると器用になって、省エネのからだの使い方をしてしまうようです。また、茶道や武道など、「道」というお稽古をされている方は、小手先の動作は無駄な動きをしてしまい、見た目には美しくなかったり、エネルギーの無駄遣いをしているなどを普段から指導されるので感覚としてはわかりやすいかもしれません。

「質問のある方は、手をあげてください」と言われ、小学生だと、全身を使って手をあげます。その腕は耳にピッタリついてきますがその時、小手先ではなく胴体から腕が生えているかのように伸びていて、肋骨を触ってみるとよく動いています。大人の場合、クイズ番組の解答権を得るための早押しの札のように、肘を支えに手をあげるような感じになるのではないでしょうか？
これがからだの使い方の差です。

もちろん、ここには心の状態も影響しています。心が前向きで積極的に取り組んでいるのが当たり前の状態、これを「氣」が出ているといいます。氣が出ている時、心が自由に使え、心がからだを動かしますから、それが手の挙げ方にもあらわれるというわけですね。私たち大人も、必要あらば手をまっすぐ伸ばすことをしています。他人が自分の傘を間違えて持っていきそうになったときとか…. 積み上げられた福袋をゲットしたいとき（最近こういうのなくなりましたね）。

心の話に逸れましたが、大事なことですので、またいずれかの機会にしたいと思います。

お話を戻します。
肩は思っている以上に、上がってしまっているようです。ちょっとした荷物を持つとき、肩にかけるとき、肩がミリ単位で上がっているかもしれません。（人によってはセンチ単位）よく観察してみてください。気づいたら「これ、肩あげんでも持てるよな」と思って、ミリ単位上がった肩を下げてください。

普段の姿勢でも、肩を下げよう下げようと思ったら、もっと下げれる場合がほとんどです。「下げられる」ということは、いつも「上がっている」ということです。本来、手は太ももの半分の長さくらいのところにくるはずです。試してみてください。そこまで長くないという方は、肩が上がって腕が縮んで、脇があいてゴリラみたいな姿になっている可能性があります。そんなわけないと思っているかもしれませんが、そんな姿で肩で風を切るように歩いているかもしれません。男性だけじゃないです。女性もです。これはおどしではないです。まだまだ伸びしろがありますので、落ち込まないでください。（ちなみに腕が１センチ長くなると視覚効果で脚が3センチ長くなるんだとか）

次に、わざと肩を上げて呼吸をしてみてください。すぐにいっぱいになります。次に、肩を下げれるところまで下げて、呼吸をしてみてください。深い呼吸ができるのではないでしょうか？
呼吸が深いと、酸欠が解消され脳が冴えてくるように思います。心が落ち着きますから、仕事の休憩時間など、気分転換に肩を下げて深い深い呼吸をしてみてください。近視眼的な思考から解放され俯瞰的に、何かアイデアが湧いてくるかもしれません。
ちなみに、夫婦関係は呼吸が深い方が勝つようです。思い当たる節があるかもしれませんね。

まず、骨（骨格）から姿勢を整えることで、四肢の動きがスムーズになります。そこに、からだの「ベクトル」（今日ご紹介したのはそのうちの一つで「肩は下がっている」というベクトル）を整えることで、機能性を高めていく。そのことで、見た目も自然に整って、この状態が、「美しい＝健康」になっているのではないかと思います。

いずれもほとんど汗をかかずにからだを整えることができます。運動が苦手な方も安心してご受講いただけます。義足の方も同じ内容でご参加いただけるのですが、このことでお示しできるものは、基本のからだの使いかは共通しているということです。市民講座などではお子さまから、８０代の方まで、一緒にからだを動かすことができます。
また、ランニングやヨガ、筋トレ、ゴルフなど、日常生活に運動を取り入れられている方にとっては、その基本となる動きが土台となり、より専門分野への精度を高めることにつながるのではないかと思っております。